ロールプレイングとは、実際に起こりうる状況を想定した練習(体験)をすることで、実際にそれらが起こったときに対応できるようにする訓練方法です。
試験で設定される「状況」は受験者ごとに異なり、トラブルが起きてコールランプを押すところであったり、食事休憩のために席を立たれるところであったり、景品交換をするところであったりします。受験者はお客様の行動や言動にあわせて、実際にホールで行うのと同じように、お客様役に対して接客を行います。
お客様役とスタッフ役に分かれてロールプレイング練習を行うことで、現場での一般的サービスをはじめ、お客様とよい関係を作るためのヒントや経験を得ることができます。
「この対応は感じがいいなと思った」「声が聞き取りにくかった」などの意見を交わしたり、「この対応をすることで状況がどう流れていくのか」を体験したりして、「これは良いのでは」と思った点や改善した点を実際に接客に活かすことで、現場のみである場合よりも速く、さまざまな経験を積むことができます。
スポーツでも、試合に出るのに練習をしないチームはありません。試合で結果を出すためには練習が必要で、現場でのサービスのためにロールプレイングでサービスを練習を練習することは、それと同じことなのです。
協会では、以下の2つの理由から、練習する必要があると考えています。
皆さんが行っている現場でのサービスにはまだまだ可能性があります。お客様が考えていることは多様だからです。お客様が望むことをサービスし、お客様に喜んでいただくことはサービス業の醍醐味です(場合によっては、感謝されることもあります)。お客様ともっとコミュニケーションを取り、ニーズをつかめば、お客様を固定客として取り込むことも可能です。
サービス力は「どれだけ多くの経験を積んでいるか(時間ではなく、種類の多さや深さ)」で決まります。現場に加え、ロールプレイングによっても経験を積むことで、現場のサービス力向上をスピードアップさせることができます。
試験期間前後を「サービスアップ活動期間」などとし、皆で接客を見直す機会にすることで、恒常的にサービスに対する意識を高めておくことができます。
また、「一気に全員が受験して終了」すると、「試験に受かったので終わり」と考えてしまうことがあるので、「受験する人数を決め、複数の期にまたがって受験させる」ことをおすすめします。会社全体で「次の目標」が設定できるため、「スター取得者が次の受験者に教える、指導する」という流れができ、テンションや努力を続ける姿勢を維持しやすくなり、店内で自然に人材育成を行うための土壌作りにもなります。
現場管理職の方やスター取得者は、指導する能力があったとしても、「教えたいけれど、自分が言ってもいいのだろうか」「教育担当者が本社にいるし……」などの不安を抱えていらっしゃる場合があります。まずは「現場管理職の方やスター取得者が接客の指導を行う」ということを、一般スタッフも含め、全体に知らせることで、指導しやすい環境ができます。
さらに「現場管理職の方やスター取得者がスタッフに指導をしているか」「指導内容がちゃんと行動に結びついているか」を確認・報告してもらい、現場管理職の方やスター取得者に「自分達には接客指導や監督の役割があるのだ」ということを再認識してもらうことも重要です。